国家資格のFP3級の資格を取得して転職・就職を有利にしたいと考える人も多いのではないでしょうか。
しかし、いざFP3級を受験するとなると、どのように学習を進めていけば良いのか、試験の難易度や合格率が気になってしまいますよね。
そこで、FP3級の合格を目指す方に向けて、ベストな勉強法法・試験の難易度と合格率について徹底解説します。
FP3級の難易度は簡単な部類!
FP3級という言葉を聞いても「何の試験?」と思う人もまだまだ多いかもしれませんね。
まずは、「FP3級とは何ぞや?」という疑問点から解消しましょう。
FP3級とは正式には「ファイナンシャル・プランニング 技能検定 3級」と言い、この試験に合格した人のことをFP技能士と言います。
FP技能士は行政書士や弁護士と同様に士業のひとつであり、立派な国家資格です。
もちろんこの他にも、民間資格のFPの検定試験もありますが、試験合格後には更新料が必要になります。
その点、国家資格のFP3級は資格を1度取得すれば更新料も不要です。
しかし、中には「民間資格よりも国家資格のほうがあきらかに難易度が高いのでは?」と気にする人もいるのではないでしょうか。
FP3級の難易度は、他の国家試験と比較すると低いと言って良いでしょう。
試験科目は学科と実技が実施されており、試験の範囲はかなり広いです。
しかし、FP3級の試験の出題範囲が広いとはいっても、書店に行けばテキストや模擬問題集・過去問題集も出ています。
テキストや問題集を通して、ファイナンシャル・プランニングの基礎からみっちり学習していれば、必ずや合格ラインに到達するので、何も心配することはありません。
ところで3級の試験と言えば、FP3級以外にも実に多彩な試験がありますよね。
たとえば簿記3級や英検3級といった試験がありますが、これらの試験とFP3級の試験を比較すると、難易度はどちらが高いのでしょうか。
FP3級と簿記3級の難易度はどちらが上?
同じ3級の試験ではFP3級と簿記3級、いずれも人気の高い資格ですよね。FP3級と簿記3級、果たして難易度が高いのはどちらでしょうか。
簿記3級は商工会議所が主催する日商簿記3級試験が毎年実施されていますが、受験者は年間で約30万人とも言われています。
とくに商業系の高校では簿記の授業を1年近く受けた後に受験可能なレベルに到達します。中には、ビジネス系の専門学校や大学で初めて簿記を習う人もいます。
簿記では損益計算書・試算表・貸借対照表の書き方や見方など、基本から応用までみっちり学習します。
簿記の基本を押さえておけば必ず合格点に到達できるので、難易度はそれほど高くはありません。
簿記3級とFP3級の試験の共通点をひとつ挙げると、試験は年3回も実施されていることです。試験の実施回数が多い分、合格率を高められることでしょう。
日商簿記3級の合格率は、意外なことにばらつきが多く、合格率が50%以上を超えることもあれば、10%台にまで落ち込むこともあります。
簿記は数学や英語と同様に、基本をきちんと押さえておけばあとは積み重ねですから、地道にコツコツ勉強を続けていけば大丈夫です。
FP3級の合格率は平均で65%とも言われていますが、社会人になってから試験合格を目指して本格的に勉強する人が多いですね。
簿記3級は自分の意志を持って学習する人が少なく、学校の履修科目として学ぶ人が多いからか、合格率が意外と低く、難易度が高い試験といった印象が強いですね。
FP3級の試験の解答形式は二者択一・三者択一で、実技では計算も必要ですが、記述式ではありません。
しかし、簿記は択一方式ではありません。暗記する必要がない代わりに、簿記の基礎がわかっていなければ点数は取れません。
ですから単純に比較すると、簿記3級よりはFP3級のほうが難易度は低いと言って良いでしょう。
FP3級と英検3級の難易度はどちらが上?
それではFP3級と英検3級を比較すると、難易度はどちらが高いのでしょうか。
英検3級は中学卒業程度のレベルで、試験は1次試験と2次試験があります。一次試験ではリーディング(読む)・ライティング(書く)・リスニング(聴く)があります。
一次試験をクリアした人だけが二次試験に進み、面接試験が実施されます。英検3級の試験自体は、それほど難易度が高いわけではありません。
しかし、試験で緊張してしまい、リスニングがうまくできなかったり、二次試験に進んでも面接で緊張して不合格になる人もいるようです。
英検3級は従来は「●点以上で合格」といった方式でしたが、今では英検CSEスコアという独自の採点方式が採用されています。
試験範囲は中学卒業レベルですが、いざ受験すると意外に難しく、何度もチャレンジする人も少なくありません。
FP3級の一般的な学習期間の目安は3~4ヶ月とも言われていますが、英検3級を受験するまでには中学校で3年間の学習期間となります。
そう考えるとFP3級よりも英検3級のほうが難易度が高く、合格を目指すまでにも長い時間がかかります。
FP3級の直近3年の合格率の推移
FP3級の学科試験の合格率の推移は?
FP3級の直近の合格率はどのように推移しているのでしょうか。そこで、FP協会の試験の合格率と金財の合格率について見ていきます。
まずは2016年9月に実施された試験の合格率について、FP協会では約69%・金財では約59%となっています。
次に2017年9月に実施された試験では、FP協会では約78%・金財では約70%という高い合格率です。
2018年9月に実施された試験では、FP協会の合格率が約79%・金財の合格率は約62%となっています。
FP3級の学科試験で2016年1月~2018年9月までに実施された試験の合格率の平均は、FP協会で約74%・金財で約58%です。
FP3級の実技試験の合格率の推移は?
FP3級の実技試験の合格率の推移について、2016年1月実施された試験では、FP協会の合格率は約82%・金財の合格率は約68%と高いですね。
2017年1月に実施された実技試験では、FP協会が約85%・金財は約62%の合格率です。
2018年1月ではFP協会が約89%・金財は約55%の合格率です。
2016年1月から2018年9月に実施されたFP3級試験の合格率の平均は、FP協会が約85%・金財は約58%となっています。
学科試験と実技試験の合格率の開きの理由とは?
FP3級の学科試験と実技試験の合格率を比較すると、金財の試験ではほとんど差は見られません。しかし、FP協会の試験では学科試験の合格率が約74%に対して実技試験では約85%と大きな開きが見られます。
単純に考えると「学科試験よりも実技試験のほうが難しそうに見えるのに、なぜ学科試験のほうが合格率が低いの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
実技試験では電卓を用いて計算が必要となる問題も何問か出題されます。相続・贈与・不動産・年金といったジャンルについて、計算問題が出ますが、問題の出題傾向をしっかりと捉え、基本の計算式や計算方法をきちんと押さえておけば大丈夫です。
しかも、実技では三者択一ですから解答しやすいのです。学科試験では二者択一方式ですが、内容をきちんと理解してある程度暗記しておく必要があります。
FP協会と金財の試験の合格率の開きの理由とは?
FP3級試験は、主催する団体がFP協会と金財の2団体によって構成されています。単純に合格率を比較すると、FP協会よりも金財のほうがかなり低くなっています。
金財の試験の問題は、独特の「ひねり」が入った問題が出題される傾向にあります。そのため、金財のほうが難易度が高いと言えば高いのですが、それほど心配する必要はありません。
過去問や模擬問題を何度も繰り返して解いていけば、出題形式や傾向もつかみやすいのです。ここでしっかり学んでおけば、FP3級試験をクリアした後にFP2級への合格の兆しもきっと見えてくるはずです。
FP3級の試験内容は?
FP3級 (ファイナンシャル・プランニング 技能検定 3級) の試験は、学科試験と実技試験が実施されています。
なお、FP3級の試験を受験するのにとくに職歴・学歴は問いません。
FPとしての業務に従事する人、またはこれからFP業務に従事したいと考えている人であればOKです。それぞれの試験の内容と特徴について解説しましょう。
学科試験
FP3級の学科試験は、日本FP協会と金財共通の内容となっています。
FP3級の学科試験の出題範囲は、ライフプランニング・不動産・相続と事業承継・タックスプランニング・リスク管理・金融資産運用の6つの分野です。
FP3級の学科試験の出題形式はマークシート方式で出題数は60問、そのうち30問は日者択一方式、残りの30問は三者択一方式です。
学科試験の合格基準は、60点満点の36点以上で、試験時間は朝10時からお昼12時までの120分です。
実技試験
FP3級の実技試験は、金財と日本FP協会に分かれています。金財では個人資産では相談業務か保険顧客資産相談業務のうち、いずれか一方を選択します。
日本FP協会では資産設計提案業務、こちらは実技試験の必須科目となります。
資産設計提案業務では、おもにファイナンシャル・プランニングの過程について問われる内容です。
金財の個人資産相談業務と保険顧客資産相談業務では、個人の顧客の問題点を把握し、さまざまな問題点の解決策について分析力と解決力が求められる内容です。実技
試験の時間はお昼1時30分から2時30分までの1時間、出題形式は事例形式にて全部で5問あります。
日本FP協会の実技試験はマークシート方式で20問あります。実技試験の合格基準は金財が50点満点の30点以上、日本FP協会は100点満点の60点以上です。
FP3級の合格に必要な勉強時間や勉強方法は?
FP3級の合格を目指すのに効率の良い勉強法法はあるのでしょうか。
トータルで何時間勉強すればこの試験をクリアできるのか、核心に迫っていきます。
何時間ぐらい勉強が必要?
FP3級の合格に向けてトータルで何時間ぐらい勉強すれば良いのか、人それぞれ個人差があります。
独学でFP3級の内容を1日に2時間ずつ勉強する場合、学習期間の目安は3ヶ月前後です。ただし、その間に1日も休まずにひたすら勉強を続けるのはまず無理です。
学習の期間は、3ヶ月~6ヶ月程度が目安と考えて良いでしょう。
勉強方法は何がある?
FP3級の試験内容を勉強する方法として、独学で学ぶ方法・講座やセミナーに通う方法・通信講座を受講する方法などがあります。
完全無料でFP3級について勉強したい人は、You Tubeなどの動画講座を見たり、インターネット上でFP3級の基礎知識を学ぶこともできます。
FP3級の自分にベストな勉強法を考える!
FP3級の勉強法法はいろいろありますが、それぞれ一長一短あります。
FP3級のさまざまな勉強法法についてメリット・デメリット・オススメな人・費用の相場について解説します。
独学
FP3級の資格取得を目指すのに、独学で学ぶ人もたくさんいます。
独学で学ぶメリットを挙げると、スクールや講座に通うよりも費用が安くて済むことです。
独学で学習するのに用意する物と言えば、テキストと問題集くらいのものでしょう。
テキストと問題集をそれぞれ1冊ずつ揃えて独学で学ぶ場合、かかる費用は3000円程度で済みます。
独学での学習が向いている人は、何事も地道にコツコツやるタイプの人、節約志向が強い人です。すでに資産運用を始めた人や贈与・相続・保険といったジャンルについて知識の深い人であれば、わざわざスクールや講座に通う必要もなく、独学で十分です。
FP3級について独学で学ぶことのデメリットを挙げると、途中でくじけてしまうと学習が行き詰まってしまうこともあります。しかし、FP3級の試験の難易度は比較的低いので、途中で学習につまずく人は少ないようです。
独学で学習効率を高めるには、テキストと対応した問題集を選び、何度も繰り返して問題を解くことです。
通信講座
FP3級の試験を受けるのに、通信講座を受講する人が増えていますね。
FP3級の通信講座を受講する多くの人が、試験に合格した後の2級の受験までを見据えています。
通信講座を受講する場合、FP3級だけに特化した講座は少なく、2級までの合格を目指せる内容となっているものが多いですね。
通信講座を受講するメリットは、学習カリキュラムがあらかじめ決められているので、あとは自分がそれに乗っかっていけば、スムーズに学習を進められます。
通信講座はスクールや講座に通うよりは費用が安く、受講する場所に行く必要もないので交通費もかかりません。
しかし、通信講座のデメリットをひとつ挙げると、教材の中身が多くて中には自分にとって不必要と思われる教材が含まれることもあります。そう考えると、コスパの面ではいまひとつですね。
FP2級までの合格を視野に入れている人なら、通信講座はおすすめですが、「とくにFP2級まで勉強したいとは思わない。FP3級だけ合格できればそれで満足。」そのような人には通信講座は不向きかもしれません。
通信講座のデメリットをもうひとつ挙げると、どの講座を選んでも受講期間に限りがあることです。そのため、長期間で学習したい人には無理があるかもしれません。
一般的に、FPの通信講座の費用の目安は5万円~8万円ですが、教材の内容やボリュームによっても料金に格差が生じます。
受講期間の目安は6ヶ月~12ヶ月です。教育訓練給付金制度対象の通信講座を受講すれば、受講費用をもう少し安く抑えられます。
通信講座では添削指導が受けられるのが魅力のひとつですね。添削課題を通して、プロ講師から指導やアドバイスが受けられます。マイペースで学習したい人や仕事しながら資格取得を目指す人に、通信講座はとくにおすすめです。
予備校など通学
FP3級の資格取得を目指して予備校やスクール、講座やセミナーに通う方法もあります。独学や通信講座と比較すると、通学する期間が短く、通う回数も少ないですね。
FP3級の勉強の試験直前対策として通うのも良いし、スクールや講座で基礎からみっちり学ぶのも良いでしょう。
通う回数や通う回数は講座によって違いがありますが、受講費用の目安は5万円~10万円程度が相場です。通信講座を受講するよりは費用が少し高くつきますが、プロ講師の授業を直接受けられるので、納得のいくまで質問ができるという点では魅力的ですね。
時間にゆとりがある人や短期間でFP3級の受験を目指す人には、スクールや講座に通うことをおすすめします。
まとめ
FP3級は今や数多い国家資格の中でも、とりわけ人気の高い資格ですよね。
これまでFP3級の学習法や試験の内容、合格率と難易度についてお伝えしてきましたが、いかがでしょうか。
「以前からFP3級の試験に興味があったけど、なんだか難しそう」という先入観を抱いていた人も、この記事を読んでからは価値観が少しでも変わったのではないでしょうか。
結論から言えば、FP3級は数多い国家資格の中でも、難易度が極めて低い試験であることに間違いありません。
FP3級の合格を目指すのに、必ずしもスクールや講座に通う必要はなく、独学で勉強しようと思えば十分にできます。
FP3級の資格取得を目指すのに、どんな勉強法が向いているかは人それぞれですよね。
時間にゆとりがある人はスクールに通うのも良いし、仕事と勉強の両立を目指すのなら通信講座を受講するのも良いでしょう。
学習期間に限りがなく、費用を少しでも安く抑えたい、完全マイペースで地道にコツコツ勉強したいと思えば、独学で学ぶこともできるのです。
自分にピッタリ合う勉強法を選び、着実にスキルアップを目指していけば良いのです。
この記事を読んで、「FP3級の資格をぜひ取得したい。」「FP3級の資格を活かして働きたい。」と思ってもらえたら、とてもうれしいですね。